NO.1 息子よ 文通しよう

ひょんなことから、東京の息子(10歳・小5)と文通をすることにした。
自分に課したルールは以下のとおり

  1.とりあえず50通続ける(封筒も50枚購入)
  2.週一ペースを目標に、書きたいことがあれば随時書く
  3.息子から返事がこなくとも、50通は書く
  4.ボールペンでいきなり便箋に書く。書き直さない
  5.書き終わったあとに、バックアップのためにブログにそのまま転記する
    (なかなかブログ続かないから、これくらいは更新しよう)

 ということで、第一通目はじまりはじまり。

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優太へ

 ママが、優太が字が汚いこと、漢字が書けないことをとても嘆くので、パパは自分が小学生の頃を思い出してみました。パパは、書道は幼稚園の頃から習いましたが、字は決して上手ではありませんでした。

 筆をつかって書く字と、鉛筆やボールペンを使って書く字(「硬筆」といいます)は、かなり違います。筆(毛筆)を使うと個性豊かなパパの字は、硬筆だとクセのある格好良くない姿になってしまうので、パパは硬筆の授業が嫌いでした。パパとは比べようも無い程に美しく整った字を書くクラスメートが、とても偉く、うらやましく思えました。

 でも、パパは手紙を書くことは好きでした。
年賀状以外に最初に手紙を書いたのは、小学校三年生の秋だったと思います。仲良くしていた女の子が、遠くへ転校してしまったのですが、しばらくして手紙をくれました。とても嬉しくて、一生懸命 国語辞典とニラメッコしながら手紙を書いたことを憶えています。まだ学校で習ってない漢字をワザと使ってみたりしました。

 女の子だけでなく、男の子とも手紙はよく書きました。クラスの暴れん坊が、彼の顔からは想像も出来ない上品な字を書くことや、クラスで一番賢い奴が、とても読めない汚い字だったり。授業の時に書く字とは少し違う、手紙を書く字は人それぞれだ、という事を知りました。同時に、たとえ字が汚くても、書いてある内容と相手に読んで欲しいと願って書く気持ちがこもっていれば、それはとても素敵な手紙だと思いました。

 だから、パパは硬筆は嫌いだけど、文章を書くことは嫌いにならなかったのです。手紙と作文を沢山書きました。

 誰かに向けて書いた文章は、授業やテストで仕方なく書いた文章と全く違います。字が美しくなくとも丁寧で、漢字も自然と使えるようになります。日本語は平仮名だけでは読みにくくて、適度に漢字を混ぜた方がバランスが良くわかりやすい言語なのです。

 パパは、優太が作文を書くことに興味をもってくれていること、そしていつも色々な話題を考えていて、何かを相手に伝えたいと思っている事を、頼もしく思います。優太はきっと文章が上手になります。漢字だってすぐ使えるようになるはずです。なぜなら、文字は「伝える道具」だからです。

 パパは、優太にその道具を早く使いこなしてもらいたいし、文字や文章の楽しさを体験して欲しいと思います。だから、毎週優太に手紙を書くことにしました。是非、返事を下さい。パパと文通をしましょう。

二〇一〇年五月十八日 京都へ向かう新幹線車中にて

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