なぜアメリカに碁のキャンプに来たかというはなし

さてさて、
今回唐突になぜ息子と一緒にシアトルの囲碁のキャンプに来たかというわけを
ちゃんと書いておこうと思います。


子育てというのは、子供の成長過程によっていろいろあります。
赤ん坊のときはそれはそれで大変なのだけど、
成長してくるとまた別の問題がでてきます。


たとえば、家内の仕事のために横浜から千代田区に越してきたときには息子は5歳。
そんな中途半端なときに預かってくれる保育園がなかった!
それでとにかく、保育園最優先で引越し先をさがして、
空きが一つあった保育園の近所になる半蔵門(麹町)に住むことになりました。



そりゃ家賃は高いけど(トホホ)、息子のためにも仕事のためにも
朝晩のことでストレスを感じたくない!
後先考えずに行動した結果ではありましたが
今から思っても、とりあえずこの選択は間違ってはいなかったと思っています。




で、保育園のときはこちらの勤務時間にあわせて息子を預かってくれるのだけど
小学生になると、特に1年生は昼ごはん食べたら学校が終わってしまう。
したがって共働き家庭は送り迎えをどうするかを思案し、
学童とか塾とか習い事に放り込むことになる。



たまたま横浜で息子に「ヒカルの碁」(これは名作!)を見せて育てたおかげで、
生協の囲碁クラブに通いだして、そのまま引っ越しても日本棋院で続いていてくれている。
田舎のじいちゃんと楽しんで打てるくらいになってくれて
それじゃあと週1〜2日は近所の囲碁クラブ(とってもオシャレです!)に通わせています。



英才教育のつもりはまったくなくて、楽しく習い事をしているという感じ。
5歳の半ばからはじめたので、2年半たって11級。上達の早い子供は有段者もいるので
まあ鈍行列車なんだけど、本人が楽しいなら、いろいろ風景を観ながらのんびりやれば
いいじゃないかって、僕はそう思って応援しています。



さて、3年生になると徐々に「お受験」の雲がかかってくるみたいなのだけど
まだ8歳なのだから夏期講習などにいかせるのは気の毒。
かといってパワー全開の年頃に、夏休みをどうするかは非常に深刻な課題でして、
そのまま学童保育で暑い盛りに煮詰まってすごすのも不憫で
さりとて家族で長期休暇もとれない。




去年は義父母の長崎に送ったり、友達との林間学校に送ったり
じいちゃんと京都の聖護院の子供合宿に行かせてみたり、
まるでラグビーボールのように息子をあちこちに放り込んだのでありました。



なにしろ夏休みは1ヵ月半もあるので、
今年もそういうパス先を5月から模索していたところ、
去年より弁が立つようになった息子は
友達も行っているから、海外に行きたい!」などと贅沢なことをのたまう。



4月にサンフランシスコでお目にかかった大学の先輩からは、
スタンフォード大のTechCamp'sというロボティックスや
プログラミングなどの子供向けギーク養成コースを
「これ、うちの息子が去年行ってすっごくよかったよ!」って薦められて、
じゃあそうしようかと考えていたのですが
普通に区立の小学校に通う3年生だし、
両親ともに生粋九州人で海外赴任をしたわけでもない。
本人は当然、英語はまったくわからない。
親子でリトル・チャロをはじめてみたけど、
アメリカに置き去りにされたチャロに感情移入はするけど(たしかにしみこむが)、
あれは大人でも表現はむつかしいよ!



そんな状態で放り込んでも、説明されたことがわかるはずもなく
息子はもちろん、周囲にも大迷惑だなあと断念しました。




とはいえ、じゃあ来年の4年生になったら大丈夫というわけでもないので
何か他にないかと探していたら
ちょうどAGA(アメリカ囲碁協会)のキッズキャンプをみつけました。



おおっ、これは英語と碁の特訓が一緒にできるじゃないか!



という虫のいいグッドアイデアを思いつき、
さっそく連絡をとったところ、大歓迎とのこと。
参加者に日本人・日系人の子供は少ないけれど、
日本に興味を持ったり日本語を少し勉強している子供がサポートしてくれるし
少なくとも一日の大半(午前+午後で計6時間以上)は囲碁をやっているから
その間に言葉がわからなくて困ることはないからと。



まあ、囲碁キャンプに参加するくらいの子供たち(親たち)なら、意地悪な人もいなさそう。
(これは日本でも同様。はっきりいうと知識階級ですな)

シアトルというと、ビルゲイツイチロー囲碁は有段者だっていうし。



初回なのでよくわからないし、保護者もつくようにということなので、
今回私も休暇をとって同行することにしました。というか、息子は自分から海外と言い出したのはいいけれど、どうもハワイ旅行をイメージしていたらしい。まさかキャンプに放り込まれるとは予想していなかったらしく、「まさか僕一人じゃないよね!」と牽制してきたので、「じゃあ一緒に行ってやろう!」ということになりました。


最近、夫婦仲がわるいので、京都の映画村・嵐山訪問につづき2度目の父子旅行です。




さて今日でキャンプも3日目ですが、期待以上にすごくいいです!



ヒカルの碁」のおかげで、世界の子供たちに広がった囲碁
チェス同様に知識階級の頭脳ゲームとして、西海岸・東海岸
各々でキャンプが開催され、年1回の総会が20数年続いています。
AGA会員は2500人とか。総会には500人以上が参加するとのことです。


シアトルは歴史もあり、7段の高校生もいるのです。
朝昼とみっちり囲碁をやり、その合間にサッカーやゲーム
そして山登りなど、いろんな経験ができて、しっかり安全にサポート
してもらえるのは頼りになります。


日本同様に、集中力をつけるためとか、理数系の感性を磨くためとか
そういう理由で親も協力的なようです。

頼りになる幹事メンバーには、夫婦でドクターで、5人のお嬢さんがMITはじめ
みな優秀で囲碁の有段者という人もいらっしゃっていました。
お嬢さんの一人が、北京で9月に開催される頭脳オリンピックの
全米代表(囲碁の部)だそうで、日本と北京に家族で行くのだと
言っていました。すげー!


明日は、シアトルの観光地でもあるマウント・レーニエ国立公園への遠足。

高さ約4400メートルだって!?富士山より高いじゃん。