十分条件はデザインするもの

JTPA SVC2009報告会は大変有意義でした。

若い人たちと議論して、僕もとても刺激をうけた。

そのなかで、ふと「なるほど」と悟ったのは


「必要条件を積み上げても 十分条件を満たしはしない


 十分条件はデザインするものだ」

ということ。



シリコンバレーに行きたいか?厳しくも自由な環境で、あの青い空の下で働きたいか?」

って参加者はみんな突きつけられて、「いや僕は日本でがんばる」って言える人はそれでいいけれど。
「行きたい!働きたい」って言いながらも、「でも僕にはこれも足りない、あれもやらなければ・・・」ってあれこれ列挙して、「もっと他に足りないところ、もれていることはありませんか?」って探して回っている人たちが結構多かった。



でもね。オジサンは知っているのだよ。

こんな確たる答えのない課題に、「必要十分条件」は決してないことを。
英語ができなきゃとか、留学をしなきゃとか、留学でもスタンフォードでなきゃとか、MBAがないといけないとか、プログラミングスキルがもっと高くならないと・・・etc. そんな「必要条件」をいくら積み上げたって、きっと君たちはシリコンバレーには行けないよ。梅田さんのいう「時代の力」が衰弱した今は、いくら必要条件を積み上げても十分条件を満たすことは至難のわざなのだから。


たぶん、希望を満たすための十分条件は、自らがデザインするしかない。


極端にいえば、たとえばApple本社で働きたかったら、Steve Jobsがウンといえば十分条件を満たすってこと。Jobsまでいかなくても、誰かがおいでって言えば入社できるはずなんだ。つまり、ミクロなチャンスにターゲットを定めて、goal seek の発想でデザインしたほうがいい。そう考えると、先に十分条件をデザインして入社してしまって、クビになる前までに必要条件を満たしちゃうって手だってある。

そのための「自分の力」を増幅させるツールは、今は誰でも使える状態にある。
もちろんfacebookやlinkedinが新鮮に思えるのもあと1〜2年くらいかな。誰もが使い始めると効果は薄くなる。なぜなら人間の関心や注意力、時間は有限だから。ITが高度化すると、ボトルネックは人間や組織になる。でもそのころはまた新しい増幅装置が登場するはず。それをすぐ使いこなしてエッジのたった人たちにリーチを届かせることはもっと容易になるだろう。そしてミクロなチャンスはどの時代にも、どんな分野にも必ずある程度は存在する。

だからもしそこで、拙速にミクロなチャンスを拾って挫折しても、学ぶことは何もやらないより大きいはず。悶々と必要条件をど〜でもよいものまで探し回っているよりも、何より時間のロスにならない。


年をとると時間がほんとうに足らないと思う。

そんなことを帰り道々思った会だった。

う〜む、やっぱオジサンモードに浸かってしまっているかな。